テレワークが進むにつれて、まず事務の仕事がテレワークになりました。次に営業がインサイドセールスを重視するようになり、テレワーク化が進んでいます。
しかし、営業の最後の仕事である契約書の取り交わしが」ずっとリアルの世界で生き残っています。その理由は「押印」の制度です。
テレワークやオンライン営業を完全に推し進めるなら、「押印」をなんとかしなければなりません。社内稟議の押印のために、テレワークを中断してわざわざ出社する、という笑えない話をあちこちで聞きます。
例え、社内稟議の押印が省略されたとしても、契約書の押印はどうしましょうか?
そこで、提案されているのが、電子契約です。
「押印」の商習慣
「押印」の習慣のために、時間や手間が取られることで、生産性の低下の原因となっています。
このままでは、企業の競争力も低下しかねません。
- 紙文書のやり取りで業務に時間がかかる
- 権限のない者が押印するリスクあり
その結果、契約に時間がかかることで、業務スピードが低下し、取引先が契約手続完了まで待っていただくことになり、紙文書の保管や管理に間接的なコストがかかります。
それに、契約書には印紙の貼付が印紙税法で義務付けられています。これも、契約のコストの内ですね。
電子契約の弱点?
電子契約は、一般には契約手続完了までの時間がほとんどかからないため、安全性が疑われていました。
しかし、電子契約は以下の工程により、安全性も確保されています。
- メールとドメインを連動させた本人認証
- 電子署名
- 認定タイムスタンプ
電子契約の普及率は?
JIPDECの実施した2018年の調査によると、電子契約を一部でも採用している企業は、43.1%です。そして、電子契約を検討していると回答した企業は20.6%にも上ります。
合計63.7%の企業が電子契約に前向きに取り組んでいることがわかります。
電子契約のシステムは?
電子契約の工程は、
- 契約交渉が成立したら、契約書をアップロードする
- 相手方が承認する
- 双方が電子署名をする
- 改ざん防止のためのタイムスタンプが押される
と、とても簡単にスピーディーに契約作業が進んでいきます。
ここで、作成された電子契約書には収入印紙は貼りません。印紙税は、紙の文書にのみ課税されます。従来の紙の契約書では、2通作成するので印紙も2倍必要でした。
これで、印紙の分だけ経費が削減できます。
電子署名の法的効力の一例
商業登記では、申請の際に申請書に添付する取締役会議事録・契約書等に記名捺印が必要です。
現在、登記申請はオンラインでも可能になっており、電子署名が認められています。ただし、この機能は法務省が指定しているサービスに限られます。
電子契約のシステムは契約双方に必要?
電子契約でも、リアルの文書での契約でも、相手がいる話です。
では、電子契約のツールを使用するとき、契約の双方がツール使用のアカウントが必要でしょうか?
電子契約のツールは、契約書をアップロードする発信者が使用のアカウントを持っていれば、双方のシステム利用が可能です。
電子契約の工程の一番目に、システムに契約書をアップロードする企業がツールのアクントを持っていたら、契約の相手方はツール使用権限がなくても、電子契約の手続きを進めることができます。
今までの紙の契約書の保管
電子契約書は、システムのサーバーで保管するサービスがあります。
電子契約以前の文書の契約書をPDFファイルに変換して、システムのサーバーへアップロードすれば、従来の契約書もこれからの契約書も、保管する場所が不要になります。
電子契約のまとめ
今後、電子契約の習慣は、初めて電子契約を使うことで電子契約の存在を認識して、使いやすさを実感することで、広まっていくことでしょう。