源泉徴収票の添付不要はいつから?
平成31年1月1日から令和元年12月31日の期間に関しての確定申告の時期がやって来ました。
複数の事業所から給与等を受け取っていたあなたは、毎年この時期に源泉徴収票をかき集めて、所得の内訳表に張り付けていたでしょう?
今回からは、もう、その作業は不要です。
確定申告書への、源泉徴収票の添付が不要になりました。
これは、手間が省けて、結構なことですね。
源泉徴収票添付不要の舞台裏
では、源泉徴収票を添付しなかったら、税務署はどのようにして調べるのでしょうか?
その辺は、もう、お気づきでしょう。
市町村から税務署へ通知
行政機関同士が連携して、連絡を取り、情報をやりとりしているんです。
例えば、給与所得の源泉徴収票を作成するときに、税務署から送られてくるのは、4枚複写の用紙です。
上の2枚は住民税課税のために市町村へ送ります。
給与所得者が複数の事業所から給与等を受け取っていたら、この2枚の通知は複数の事業所から市町村へ送られる訳です。
市町村では、この時点で、すでに複数の源泉徴収票を入手しているのです。
このことが、市町村から税務署へ通知されるので、税務署は源泉徴収票が確定申告書に添付されていなくても、大丈夫なんですね。
税務署から市町村へ通知
では、逆に市町村への源泉徴収票送付がない場合はどうでしょうか?
このままでは、市町村は住民税の課税ができません。
この場合、従来から税務署への源泉徴収票提出がそのまま市町村へ通知されて、住民税課税の計算に使われていました。
このような税務署から市町村への通知が、今回から逆方向の通知も積極的になされるようになった、ということです。
マイナンバーによる手続き簡素化
納税関係の申告書にマイナンバーを記載することが義務づけられました。
これによって、個人の特定が簡単になったことも、要因の1つだと思います。
また、銀行口座を新規に作成する際に、マイナンバーの申告が義務づけられました。
これにより、預金の流れが把握されます。
キャッシュレス政策もまた、個人のお金の流れを把握するためだといわれています。
現在のマイナンバーカードの普及率は大変低くて、実行性が疑問視されますが、「マイナポイント」キャンペーンがスタートすると、普及率は一気に100%へと近づくでしょう。
そして、自民党が単独過半数を両院で維持している間に、マイナンバーカードの取得が義務づけられる法案が通過するのも自然の流れです。
野党の反対があったから、カードの作成が任意であっただけで、そもそもカードの普及率が100%でなかったら、何の意味も持たないですから。
健康保険料が上がります
今後、健康保険被保険者証(健康保険カード)の情報が、マイナンバーカードの中に入って、1つになることが発表されています。
本来、複数の事業所より給与を受け取っている場合、社会保険料の支払いは、複数の事業所が話し合うことになっています。
1つの事業所の給与の額を基にして計算された保険料が、複数の給与を合算して計算された保険料の額よりはるかに少なくなるのは当たり前です。
その事態を防ぐために、「複数の事業所が話し合う」ことになっているのですが、私は、今まで、「話し合って」いるのを見たことがありません。
この制度の抜け道として、一番低い給与の事業所で社会保険に加入することがあげられます。
保険料が少なくて済むのです。
こういったことも、今後は、できなくなります。
マイナンバーで紐づけられた急所所得が合算されて、そのまた法人のマイナンバーでも紐付けされてます。
ですから、複数の事業所が話し合いをしなくても、自動的に社会保険料の額が計算され、複数の事業所に割り当てられます。
そして、本人負担額もまた、各事業所の給与から差し引かれることになります。
マイナンバー制度の本当の目的がここで達成されるということなんです。