エッセンシャルワーカーとしての保育士、処遇改善の根本的な問題

保育所裏話

保育士がエッセンシャルワーカーとして注目される中であえて言いたい

保育士がコロナの影響で、また注目されるようになっています。
コロナウィルス感染のリスクを負って、日々保育に欠ける子ども達の保育に勤しむ。
エッセンシャルワーカーとして頑張ってください、と。

保育所では、保育所で保育する子ども達のことを、
「保育に欠ける子ども」
と呼びます。

ですから、コロナ関連の事情により、在宅勤務や自宅待機している保護者の子どもは、「保育に欠け」ていない状態ですから、今まで保育所に通園していたとしても、現在は、保育所へ連れてきてはいけないのです。

保護者がお家にいらっしゃるご家庭では、お家で保育してください。
コロナと戦う今のうちは、保護者がエッセンシャルワーカーである場合にだけ、子どもを保育所に通園させてください。

保育士の給料が上がらない本当の理由

さて、保育士の給料が上がらないことを考えるには、保育所の経営について考える必要があります。

保育所の収入

保育所の収入は、国からの援助を受けた地方自治体からの補助金のみです。
子ども1人あたり〇〇円というように決められています。

ここで、「?」と思う方はいませんか?
保護者が保育料を支払っているではないか、と。

保護者が支払う保育料は、世帯の収入によりその額が決められています。
例えば、高額所得の世帯なら、月額6万円、生活保護世帯なら、0円と。

保育所が受取る補助金は、高額所得の世帯の子どもについては、満額から6万円を差し引いた額。
生活保護世帯の子どもについては、満額を受取ります。

すなわち、補助金が仮に子ども1人あたり20万円だと決められているなら、20万円より多くの補助金を受けることはできません。
保育所の収入(売上)には上限があるのです。

保育所の支出

次に支出について見ていきます。
家賃、水道光熱費、消耗品費、そして人件費です。
この人件費の部分が保育士のお給料ですね。

収入が決まっているのに、給料を上げられますか?

保育所も民間企業です。
何らかの利益が出ないと続けていけません。

公立保育所が減ってきた理由

公立の保育所が、どんどん民間に払い下げになり、新規の開園が民間に対して募集されているのは、
保育所の経営をまともにできない状況になっているからなのですよ。

地方公共団体が公立の保育所の経営を切捨てているのは、公務員保育士の給料の高騰です。
「高騰」といっても、他の職種と比べたら大したことはありません。

それで普通の待遇なんです。
その普通の待遇ができないから、公立保育所がなくなっているのです。

保育士の給料を上げる方法

では、民間の保育所の保育士の給料をどうやって上げていきましょうか。

現状の対策としての処遇改善

保育士の給料を上げる方法として、現在採用されているのは、「処遇改善手当の支給」です。
この処遇改善手当とは、保育士の給料に上乗せして支払うことを目的として、月額の補助金とは別に保育所に支給される補助金です。

そして、この処遇改善手当を保育士に支給するためには、保育所内の事務手続きがとても面倒で、計算方法も複雑です。
公平な分配をするためには、その計算のために事務員を1人雇わないといけないくらいです。
本末転倒ですよね。

もっと簡単な処遇改善の方法があるでしょう?

処遇改善手当なんて、ややこしいものをいじくり回すよりも、
もっと単純で簡単な方法があるでしょう?

月々の補助金を底上げすればいいのです。

簡単でしょう?なんで、こんなことに気付かないのか不思議に思いませんか?

保育士の処遇改善は夢のまた夢

月々の補助金を増額しないことには、保育士の真実の処遇改善は実現しません。
いつ終わるともわからない、とりあえず、国民の目をしのぐためになされているだけの処遇改善手当では、保育士の処遇は、一向に改善されません。
国会議員のみなさん、見て見ぬふりは止めてください。

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