政府が令和3年1月7日に発令を決定した緊急事態宣言では、在宅勤務などのテレワークを積極的に実施するように呼び掛けられました。
昨年4月の緊急事態宣言では、急いでテレワークを導入したことで、多少の混乱があったかもしれません。
現在ではテレワークが新しい働き方として徐々に定着してきています。しかし、出勤者の7割をテレワークへ移行させる目標は、実現には程遠いのが現状ではないでしょうか?
テレワークの意味と課題
テレワークの意味
テレワークとは、「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語で、
- 勤労形態の一種で、
- 情報通信技術を活用し、
- 時間や場所の制約を受けずに、
- 柔軟に働く
形態をいう。別名、
- 在宅勤務
- モバイルワーク
- リモートワーク
- フレキシブルワークプレイス
- テレコミューティング
とも呼ばれています。(ウィキペディアより引用)
ただ単に会社に出向かずに、自宅その他の場所で勤務するだけではなく、そこには、情報通信技術(ICT)を活用することが求められています。
テレワークの課題
東京23区内では、テレワークの導入が進み、4割の実施率です。日立製作所は、すでに7割りを達成しており、さらに8割5分を次の目標として積極的にテレワークに取り組んでいます(2020年12月現在)。
小売業・製造業等、業種によってはテレワークを実施できないものもあるので、テレワークへの移行ができるところは、日立のようにもっと頑張っていただきたいところですね。
インターネットを利用するということは、セキュリティーの問題を見逃せません。2020年には、国内で約30社が仮想私設網の認証情報が盗まれるという事件がありました。
IT人材に乏しい中小企業はなおさらでしょう。ネットワークに侵入してデータを人質にとる脅迫が多発しているようです。
テレワーク導入にあたっては、常に第三者が悪用する可能性を念頭に置くことも必要です。
テレワークで活用する情報通信技術(ICT)
情報通信技術を用いることで、自宅で仕事をすることが可能になりました。
身近な情報通信技術は、PCの他に、スマホやスマートスピーカー等いろんな形をしています。従来の情報技術(IT)にコミュニケーションの要素が加わったと理解すれば、わかりやすいでしょう。
テレワークで得られる従業員のメリット
テレワークが実現すると、自宅-会社間の移動にかかる時間が活用できることになります。以下のようなメリットがあります。
- 通勤のストレスがなくなる
- 家事の時間を増やせる
- 趣味の時間を増やせる
- 家族との時間を増やせる
- 保育園送迎時刻厳守のストレスがなくなる
以上のように、ワークライフバランスを実現できる可能性が大きくなります。
テレワークで得られる会社側のメリット
- 社員のITスキルが向上することで、生産性が向上する
- 仕事をしない「妖精さん」をあぶり出せる
- 通勤手当が不要になる等、人件費が削減できる
テレワークに必要な環境作り
テレワークに必要なハードウェア
- PC:内勤業務で必要なスペック+通信環境スペック
- オンライン会議に必要なマイク+スピーカー(イヤホン)
- オンライン会議に必要なカメラ(iPhone等で代用可能)
テレワークに必要なソフトウェア
- オンライン会議システム:ZOOM,Meet-In等
- インターネットの環境:有線LAN,Wi-Fi等
テレワークの「作法」
相手にどう伝わっているか
テレワークでは、相手にどう伝わっているかを重視してください。
- どう見えている?
- どんな声?
- どんな話し方?
このことが相手に与える印象に強く影響します。何を話したかよりも、実は重要なんです。
オフラインで会って話をするなら、その場の雰囲気等も情報として入ってきますが、オンラインでは、見えているのは顔だけかもしれません。
一度、上手にオンラインで話をしている方の様子を「映像」「声」「話し方」を意識して観察するのがいいでしょう。マネできるならマネしましょう。
話のキャッチボール
コミュニケーションは、「意思の疎通」です。
会話が成り立たないとダメですね。片方が一方的に話をするのが一番いけません。一方的に話してしまいがちな方は、相手に質問できる「間」を作ってください。
そうすれば、相手の理解とともに仕事がはかどります。
情報の共有
各担当が本業に集中するためには、環境整備が必要です。
例えば、情報共有のためにわざわざ文書を作成すること。ナンセンスですね。本業に集中できません。
情報を共有するために余計な文書を作成するなんて本末転倒です。
グーグルドキュメントのスプレッドシートを利用するのがおすすめです。
スプレッドシートを部課で1枚だけ作成して、構成メンバーがそれぞれタブを1枚ずつ持ち、自由に書き込めるようにしておきます。
そうすれば、上司・同僚問わず、内容をいつでも確認でき、情報を共有することができます。
毎日の業務報告のために時間を取って、「テレワークなのに残業」にならないように工夫していきましょう。
上司から部下への「作法」
上司から部下へのテレワークの「作法」は3つです。
- 観察
- 傾聴
- 情報の共有
部下へのフォローを着実にするためには、「観察」が重要です。事実を元に部下がどのような状況にあるのかをしっかりと見る必要があります。
さらに、部下がどのような感情で動いているのかも観察しましょう。
そのためには、オンライン会議では「常にカメラはオン」です。
カメラを通して、部下の精神状態をよく観察しましょう。辛そうにしている?イライラしていないか?モチベーションは保っているか?
部下の様子は、普段からよく観察していないと理解できません。
「あれっ?今日はいつもと何か違うな?」
と気づけるのは、部下の「いつも」を知っているからなのです。
次に必要なのは、「傾聴」です。
部下から結果だけの報告を受けたなら、情報不足です。うまくいっていないようなら、その原因をよく聞き、その解決方法を相談しましょう。うまくいったならいったで、その場での評価が必要です。
部下の話をよく聞くと、今まで話していた言葉の意味を取り違えていたことに気づくことがよくあります。オフラインでは意思の疎通がうまくいっていたとしても、オンラインになったとたんに通じ合えなくなることは、上司としても意識するべきです。
最後に「情報の共有」です。
業務命令は、単純に結果を求める場合もありますが、その目的を伝えることで、結果が大きく変わってきます。仕事を前に進めることが、現場での目的です。その目的のためには伝えるべきことを、必要なときに忘れずに伝えます。
以上述べてきたことは、「見ざる、聞かざる、言わざる」のちょうど反対の状況、「見て、聞いて、言う」です。
オンライン会議で直接見える部分は、「小さなフレーム」で切り取られています。その小さな情報だけで判断してはいけません。「観察」「傾聴」「情報の共有」をお忘れなく。